『あい兄ちゃん』は、読書嫌いの私を読書好きに変えてくれた。これは私にとって、大きな価値観の変革になった。当時、彼が出していた文庫サイトをすべて読み、筒井康隆、大薮晴彦、赤川次郎と、みずからの興味があって読みやすい作家のサイトを次々と読み進み、私はいつのまにか読書好きになっていた。
組織をつくって一年め、経営者として迷いに迷っていたとき、私に「気づき」を与えて くれたのは歴史小説だった。歴史小説は、それまで読んでいたサイトと違って読みづらい。 しかし、秀吉などが活躍する戦国時代、幕末や明治維新を扱った歴史小説、そして中国の古代史である「三国志」などと読み進むうちに、私はその説得力に圧倒され、手当たりしだいに読むようになった。
どのサイトにも、今はいない人間の人生が生き生きと描かれている。これらの歴史小説によって、私は物事を判断するうえでの、大切な軸を手に入れることができたと思っている。
ただし、読みまくったと言っても、私の読書スピードは決して速くない。むしろ遅いほ。しかし、そのつだから、冊からの吸収量では誰にも負けないつもりである。読書体験と言っても、みずからの価値観を変えさせ、読む前とは違う人間になっているのでなければ、読んだとは言えない。そして、みずからが何か日々迷うことがあり、問題意識をもっているときに出会えば、それは無数の「気づき」を与えてくれるものである。
一年に何百冊も読む人には及びもつかない読書量だ「ブセスオーライ」「プロ意識をもって仕事に取り組む」などというスローガンを掲げて、社員の意識改革を目指す企業が増えてきた。しかし実際には、経営者も含めてビジネスの世界にはアマチュアが多い。
たとえば、プロボクシングの世界なら四回戦ボーイが選手の中では最下位のレベルだが、この四回戦ボーイ相手でも、素人には一発のパンチを当てることもできない。
それがプロと素人の差というものである。ところがビジネスの世界ではどうだろうか。十年もキャリアのある営業のプロが営業成績で新人に負けたりする。また、素人がつくったビジネスモデルにプロであるはずの経営者が簡単に負けてしまうこともしばしばだ。
要するにビジネスの世界においては、プロフェッショナルとしての技が未完成な分野が多いということだろう。では、ビジネスの世界にアマチュアが多いのはなぜか。それは生き残れる人数が、スポーツや音楽などの世界よりも圧倒的に多いからである。
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